就業規則の機能

就業規則とは、労働者が就業上遵守すべき規律や労働条件に関して具体的に定められた規則です。従業員の労働条件を明確にし、職場の秩序や規律を守る機能を持っています。また、社内のコンプライアンスを徹底するためのものでもあります。 従って、就業規則は企業ガバナンスの根本であり、人事管理の第一歩でもあります。

就業規則には、2つの効力があります。

就業規則には、「労働契約規律効」と「最低基準効」という2つの効力があります。

労働契約規律効

就業規則で定めた労働条件が労働契約の内容となる。

最低基準効

就業規則で定める基準に達しない労働条件を定める労働契約は、その部分について無効となり、就業規則で定める基準が適用される。

前者は、「就業規則で定めた労働条件が労働契約の内容となる」という効力です。従って、従業員に提示する労働条件を正確に反映する必要があります。
一方、後者は「就業規則で定める基準に達しない労働条件を定める労働契約は、その部分について無効となり、就業規則で定める基準が適用される」という効力です。従って、就業規則は継続的に見直し、常に会社の実情を反映する内容に維持しておく必要があります。

どうして、就業規則は重要なのか?
- 就業規則の作成は、経験豊富な専門家に任せるべき理由 -

就業規則は、労働トラブルを未然に防ぐ防波堤になるため。
そして、万一労働トラブルが発生した場合には、解決の拠り所となるため

就業規則は、労働トラブルの予防となる重要な役割を担います。就業規定や労働時間など、トラブルの原因になりやすい事柄について明確にしているためです。また、万一労働トラブルが発生した際には、就業規則を拠り所として問題の解決を図ります。従って、就業規則は裁判にも耐えうる法的根拠の確立した内容である必要があります

また、法改正や新しい判例にも対応させるために、定期的なチェックが重要になります。当事務所の顧問先企業様には、法改正や重要な判例が出たタイミングで、就業規則の検証を行っています

就業規則の内容は、会社の成長や実情によって変化します。例えば、業務内容が変わった。就業時間が変化した。賃金体系が新しくなったなど、会社の変化にあわせて適宜変更が必要になります。そうした変化を迅速に就業規則に反映することが、労働トラブルを未然に防ぐカギになります

労働トラブルの予防と解決には経験が非常に重要になります。経験の差が、解決までの時間、費用、労力を決めます。労働トラブルの予防と解決の拠り所となる就業規則の作成は、その経験が最も活かされる分野のひとつです

悪質な従業員の行為に対して、正当な懲戒処分をするため

就業規則がないと、従業員が秩序を乱すような行為を行った時でも、「減給」、「降格」、「懲戒解雇」などの懲戒処分をすることができません。これは、懲戒処分をするには、就業規則に懲戒事由と懲戒処分の種類が規定されていることが必要だからです。その規定がないにも関わらず、懲戒処分をした場合には、その懲戒処分は法的に無効となります。よって、就業規則は「万一のトラブル」をも考慮した精緻な作成が必要となります

各企業の実情を反映した就業規則が必要なため

現在、多くの企業では長期雇用を前提とした正社員と、有期雇用を前提とした契約社員やパートタイマーなど複数の立場の従業員が存在しています。また、同じ正社員でも事務系社員と工場など現場に従事する社員など、異なる環境で業務に従事する社員が存在します

そのため、企業によってはそうした「異なる立場。異なる環境」に応じた就業規則を作成することが望ましいケースがあります。そうしておかないと、労働トラブルが発生した時に、まったく当てはまらない就業規則を使ってトラブルを解決することになりかねないからです。時には、それが大きな費用負担やトラブルの長期化につながることもあります

福利厚生などの制度を機動的に導入することができないため

例えば、年次有給休暇の計画的付与制度など会社にとって利益となる制度を導入するためには、就業規則にその旨の記載が必要になります

労働トラブルが発生した時、長期化しやすいため

予期せぬ労働トラブルが発生した時、就業規則がその解決の拠り所となることは前述した通りです。例えば、退職勧奨に対する不服の申し立て、未払い給与の請求、懲戒処分への不服申し立て等、労働トラブルのリスクは年々大きくなっています。そうしたトラブルの際、最初に拠り所となるのは就業規則です。就業規則に明確な規定があれば、それを根拠にトラブルは早期に解決可能です。一方、就業規則に明確な規定がない場合には、トラブルは長期化しがちです。特に、裁判に発展した場合には、費用や労力がとても大きくなります

このように、会社および従業員の利益になる制度を導入する場合にも、その旨が予め就業規則に記載されている必要があります

就業規則の運用

就業規則は、大きくは以下の3つのステップで運用します

企業の業務と実情を反映した就業規則を作成する
労働基準監督署へ届け出をする
従業員へ内容を周知する

就業規則の作成において、「ひな型」をそのまま使うのは危険

就業規則のひな型は、労働基準監督署で入手することができます。また、インターネット上でもひな型をダウンロードすることができます

しかし、そうしたひな型を流用し、就業規則を作成することはお勧めできません。理由は、これまでにお伝えしたように、貴社の業務や実情を反映していない可能性がある上に、中には最新の法改正が反映されていないものもあると思われます。そうしたひな形を流用した場合、万一のトラブルの際、致命的な欠陥を露呈することになりかねません。従って、就業規則は貴社の業務と実情にそった独自のものを作成されることをお勧めします

従業員からの意見聴取

就業規則を労働基準監督署に届出する際には、従業員からの意見書を添付する必要があります。もし、従業員の過半数で組織される労働組合がある場合には、その労働組合からの意見書が。そうした労働組合がない場合には、従業員の過半数を代表する者からの意見書が必要です

こうした届出手続きについても、当事務所がサポートしています

就業規則の周知義務

就業規則は、労働基準監督署に届出をした後、従業員に周知する必要があります。これは、「従業員が知ろうと思えば、いつでも知り得る状態に置くこと」を言います

具体的には、以下の3つの方法があります

  • 常時作業場の見やすい場所へ提示し、または備え付ける
  • 書面で交付する
  • 磁気ディスク等に記録し、かつ、各作業場に従業員が当該記録の内容を常時確認できる機器を設置する

もし、こうした周知義務を怠り、従業員が周知できる状態が整っていなかった場合には、その就業規則は無効となりますので、非常に注意が必要になります。

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