2025.10.09

最低賃金引上げ

 2025年10月以降最低賃金が引き上げられます。引き上げ答申額は熊本県の82円~東京の63円まで最大19円の差が発生している。最低賃金が毎年引上げられるが各都道府県により最賃適用開始日が、従前だと10月~11月上旬であった。しかし今回の最賃適用開始日は栃木県の10月1日からと最長秋田県の令和8年3月31日とばらばらな適用開始日となっている。中央最低賃金審議会からの方針に基づき地域最低賃金審議会が答申額を発表するわけではありますが、毎年何を根拠にこの額を決定しているのか不明です。政府方針は2029年までに1,500円が政府目標とされています。

 とすればその方針だけで毎年70円以上の引上げが発生することとなります。70円×8時間×22日=12,320円の毎年ベースアップしなければならないことへと向かっているように感じます。年間147,840円に人件費の基本上昇と社会保険料等の公的負担上昇と相まって中小企業に及ぼす経営負担は計り知れない状況となります。人手が足りないと雇用確保に取り組んできた中小企業も賃金を引き上げながら募集を行ってきましたが、少し様相が変化して、採用を取りやめて事業閉鎖や廃業という方向に。赤字を出して借金をして辛抱するより、事業を縮小して家族だけで行うか又は廃業して店をたたむかのリスクを避ける行動が出始めた。

 そもそも、最低賃金による地域間格差があってよいものなのだろうか。東京は家賃も高い物価も高いだから、賃金も高くなくてはならない。なんて理屈も一方では理解できるが、人は賃金が高いところに転居していくことは常識的な事です。安い賃金しかもらえない地方には魅力が無い。この事も一方では言えるのかもしれません。しかし人一人の人間が生活するのに最低限必要な価格を算定して最低賃金とすることも検討が必要であろう。東京を中心とした関東圏の年の賃金が他の地域と比べて高額となると一極集中都市は益々、加速化していくことでしょう。しかし一方で、集中した人口マンモス都市の弱点は人口流動していないことにあります。高齢者が一定年齢になれば地方転出するとか若者が転入するとかのループ現象が発生していない。つまり、東京に住み始めると終末期迄住み続けるということ。つまり、人口減少し超少子化社会の中で、若者が地方から東京に転出するスピードと東京住民の高齢化のスピードの回転率は、はるかに高齢化が増し、超高齢人口都市東京となってしまうことです。その時東京は活力を失い世界最大都市東京の座を失うことになります。

 原因は人口リサイクルループの欠如にある。人口データ分析を行えば当たり前にわかっている事。その対策を行ってこなかったことにあります。未だその対策は行っていません。

 最低賃金の決定も中小企業をいじめるだけで、大企業には遠く及ばない世界であろう。毎年春闘でベースアップとオールドメディアを賑わせるが、これまた中小企業には縁遠い話です。日本の働く場を守っている中小企業の事を、政府はそして政治家はどのように考えているのか疑念は絶えません。

有限会社レイバー経営者コラム「 最低賃金引上げ 」