中小企業では賃金の引上げが出来ない。原因は、原材料等の仕入れ物価上昇に対する価格転嫁が出来ていない事や大手取引事業者の価格交渉の壁が厚いことなどがあげられる。一方で、最低賃金は政府主導で毎年引上げられ経営資源である人の賃金・モノの価格・金利の上昇とトリプル高騰が中小企業を追い込んでいる。物価上昇の原因は様々考えられるが、コロナによる各国政府のお金のバラマキ、ウクライナVSロシアの戦争による穀物の高騰・原油の高騰、慢性的な人手不足による賃金上昇圧力、円安による輸入コスト増などであろう。
このインフレが発生し始めたのは2021年後半当時の首相 菅総理が退任し岸田総理が誕生した時であった。岸田総理の政策は「新しい資本主義」と名した。特別定額給付金としてすべての国民に十万円給付を行った。インフレに向かっているときに更に市場にお金をばらまく政策を行ったのです。その後も物価対策として現金給付を続けた。2021年を基準として2025年の物価上昇率は3.5%と言われています。とすると生活費原価10万円+消費税1万円合計11万円を2021年の基準で試算すれば、2021→2025で生活費(税抜)が一括で3.5%上昇、消費税率は10%のまま。
2021年:原価 100,000円 → 消費税 10,000円 → 税込 110,000円
2025年:(物価+3.5%)
生活費(税抜)=100,000 × 1.035 = 103,500円
消費税(10%)=103,500 × 0.10 = 10,350円
税込合計 =103,500 + 10,350 = 113,850円 となる。
国民負担は3,850円のインフレ圧力にさらされている。賃金が上がっていなければ、可処分所得は減少していることがわかります。財布の中身は減少するばかりということです。一方で、構造的増収となってる項目を忘れてはならない。消費税10%は変わっていないが物価上昇していることから10,350円となり、350円の構造的増収となって、これが税収増の上振れ分の原因となっています。国民生活は可処分所得が減り、国の税収が増えたから給付に回せと主張する人がいますが、国家財政全体からすると債務超過を続けているばかりか借金を増幅させないと国家予算が形成できない事態となっていることは全く議論せず責任の所在は何処にあるのやらという始末。終始ポスト石破の首取り合戦の様相です。国民は生活できない事態に置かれていないので危機感はあまりなく、突然押し寄せてくる人工的災害を想定する事すら出来ない程の平和ボケと化していると思います。
アメリカさえも来年度にはトランプ政権の減税と関税政策により債務超過に陥ると言われています。世界が大恐慌時代に突入すると思われますが、人口経済状況の構造的に日本は未曽有の環境に置かれてしまう危険が今まさに目の前に存在していると考えます。「希望が無ければ活力は出てこない」下を向いてただ生きているだけ。そんな環境にはなってほしくないと思います。
