政権与党が自民党・公明党の連立がついに破綻し、自民党・維新の連立政権が誕生した。と同時に自民党総裁であった高市総裁が日本の初代女性総理大臣となった。 さて、石破政権と高市政権とは一体どのように違いがあるのか考えてみたい。石破政権下では地域と共にある国家地方分権重視の考え方があったが、新政権では強い国家(経済安保国家)と国家観は随分違う。経済方針についても地方発の経済循環を基本としていたが、新政権では国家主導の産業政策が基本で半導体やAI・防衛・エネルギーといった分野に注力する。価値観の重点的な違いは、地域・共助・持続可能性を基本としていたが、新政権は国防・技術・自立を基本的な価値観と位置付けている。
そして政策投資の分野では、1. 経済安全保障の強化:先端技術・重要物資の国内生産強化:半導体、レアアース、AI、量子技術、バイオなど。「サプライチェーンの自立」を掲げ、国家資金で国内回帰を促進。重要インフラ防護:通信、エネルギー、交通、金融分野のセキュリティ強化。特に「5G/6Gインフラの国産化」を重視。2. 科学技術・防衛技術投資:「科学技術立国」を国家戦略の柱に。防衛技術を民生転用する「デュアルユース技術」への公的支援を拡大。宇宙・サイバー・AI分野の研究開発費を大幅増額。自衛隊・防衛産業への官民連携投資を推進。3. エネルギー政策:原子力の再稼働と新増設を容認する立場。「再エネ+原子力+水素」のバランス重視型。電力安定供給を「国家安全保障の一環」として位置づけ。4. デジタル主権と通信インフラ:「国産OS・クラウド」構想の検討。中国や米国の巨大IT企業への過度な依存を減らす方針。政府クラウドや行政システムの安全保障視点からの見直し。5. 「強い国家」志向の政策:憲法改正(特に安全保障関連)への明確な推進姿勢。教育・防衛・技術を「国家の柱」とする国家戦略型政策。メディアや情報空間の「安全保障化」にも関心(放送・通信制度の見直しなど)。投資・財政スタンス:財政健全化よりも「国家戦略投資」を優先。「未来への投資」「国家守護投資」という語をよく使用。成長分野(半導体、AI、防衛技術など)には大胆な公的支援を容認。金融政策では、物価安定よりも「成長と安保の両立」を重視。
ではこのような政策を元に中小企業のメリットとデメリットはどんなことが考えられるだろうか?メリット:国家重点分野(防衛技術、AI、部品製造、半導体など)に関連する中小企業は大型受注・補助金のチャンス。経済安保関連サプライチェーン強化策で国内製造企業の需要増。サイバーセキュリティやデジタル化支援策も強化される傾向。リスク:国家主導の集中投資ゆえに、「対象外の地域・業種」は恩恵を受けにくい。大手企業主導の再編が進み、中小の吸収・淘汰圧力が強まる可能性。地方や伝統産業向けの支援が後回しになる懸念。
支持率の高い政権であり期待したい。しかし懸念すべき財政スタンスが積極財政ではある。「入りを図りて出をなす」という考え方があってもらいたい。未曾の借金はいずれ国民の負担となってしっぺ返しが来る。お金は生きモノである事を忘れてはならない。

有限会社レイバー