2020.01.01

労務リスク

働き改革により労働基準法に定められた法律の施行日が次々とスタートしていきます。有給休暇 の5日の強制付与は昨年4月からスタートし全ての事業所で適用となりました。又管理職の労働時 間管理に関しても同様です。大企業は常に前倒しで対応しているが、中小企業に至っては常に遅れ がちで情報伝達が遅滞していることも考えられます。むしろ働く労働者のほうがリアルな情報をキ ャッチし各会社での対応を求めて来る事が多いと感じています。本年4月からは残業時間の上限規 制が適用となります。上限時間(原則)1年単位の変形労働時間制の場合付2時間且つ年320時 間となりそれ以外は月45時間且つ360時間。36条協定の特別条項を労使で締結することによ り1か月最長100時間未満(法定休日含む)2から6か月のいずれにおいても平均80時間(法定休日含む)36協定起算日から年間720時間(法定休日含む)の範囲まで時間外労働することが可能となっています。しかしこの時間を超過すると労基法32条119条により6か月以下の懲役または30万円以下の罰金が科せられることとなります。これまでは36条協定で定めた時間外労働を超えていても割増賃金を支払っていれば、是正勧告にとどまっていましたが、今後はそうではなくなることを強く経営者は認識しなければなりません。この時間外上限規制の法律の賛否はあると考えられますが、法治国家である以上従わざるを得ないと考えます。とすれば、現在において超過している会社様は相当あると思われます。

例えば、「部長・課長だから残業手当は払ってない。管理職手当払っているから大丈夫」「午前午後のお昼の休憩時間を取ってない。その分時間外計算していないし割増賃金も支払っていない」「営業マンには歩合で払っているからそれが残業とみなしている。でも時間管理はしていない」こんな会社が非常に多いです。今の経営者の50代後半の方々は、「そんなこまかい残業の事など言わずにがんばったら賞与で見てやる。」という経営者の方が非常に多いと思います。そのことを否定する訳ではありません。ただ、現代労働者の思考は「時間外労働規制は規制。割増賃金は割増賃金。賞与は賞与。」というように単独的独自的思考が大半だということを認識して経営する必要があります。一度労働紛争になれば経営者の性善説的思考はことごとく壊されることを知ることになります。それでは遅いので、事前にしっかりと対策に取り組んで頂きたいと思う次第です。本当に時間外労働の把握は間違っていないのかどうか?再度各部署の時間管理の状況を調査されることをお勧めいたします。

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