2023.06.10

デジタルトランスフォーメーション(DX)の罠

 マイナンバーカードの不祥事が次々と報道されている。健康保険証を廃止しマイナー化で来秋から改正とかマイナ保険証に別人登録7300人確認その内6件は他人の受診履歴や医療費、薬剤情報が閲覧されていたという。又他人の口座ご登録11件と5月24日報道されたが7日13万件と報道修正された。印鑑証明でも誤交付されている。紙ベースで行っていれば起こりえない問題の発生である。勿論人的ミスによることはあるが問題の規模が全く違う。富士通社長は「信頼損ねた」と5月24日謝罪した。原因は何処にあったのか?複数の問題が発生しているとしつつ、富士通子会社のシステムに原因があったと言及。また外部からの不正アクセスで顧客情報が外部流出したことを明らかにした。マイナ保険証では自治体のパソコンで住民が入力後ログアウトしていなかった原因により住民基本台帳のデータに紹介をかけて登録する操作が放置された他人の保険証になったとか?いずれにしてもシステム開発の不具合や外部からの不正アクセスによる攻撃に対してのセキュリティの甘さが伺える。クラウド化されたシステムはデータベースに構築されたシステムを利用して多くのユーザーが様々な種類の目的でデータを取り出し形成された成果物(権利証)を取り出すものである。ここには大きな罠が潜んでいる。個々のデータベースは厳重なセキュリティのサーバーに保存されて入ると思うが、システムは一元化されたクラウド上で動いている。このシステムのどこかにバグが発生すると全てがダウンする。外部からの攻撃に対する防衛(ファイヤーウオール)もすり抜けてくるハッカーが存在する。アメリカセキュリティー企業のホーム・セキュリティー・ヒーローズは文章などを自動で作る生成人工知能(AI)を使うと一般的に用いられているパスワードの51%を1分未満で破れると調査結果を発表した。18文字の数字の場合には10か月掛かったというが破られるとした。様々なシステムは人にとって非常に便利なものを形成してくれる。また合理化省力化が出来て人的ミスを極限に抑え込んで来ているのも現実である。一方で数少ない人的ミスが重大な問題の発生とクローズアップされる。システムがダウンすることで一般市民は何もすることが出来ない。銀行からお金を引き出すことも出来ない。住民票や病院で他人名義で交付や治療を受けることになる。

 便利になったクラウドシステムはweb上で世界とつながっている。本当に便利になった。世界の方々とリアルタイムで会話やメールで話し合うことが出来る。一方で個人情報や個人特性パーソナリティーは漏洩している。このような世界とどう向き合うのか?システム会社の責任だけを求めるだけで足りるとは考えにくい。

 利用する企業や個人の権利義務とは別に公的な監視体制の確立と法的整備が早急に求められる。特に外部攻撃による不正アクセスによるシステムダウンによる損害は過大な問題を引き起こしてきた。DX化に対する政府の法整備等政策の遅れが今の日本の経済停滞を象徴している様にも思える。

小牧社労士事務所*経営者コラム-デジタル社会
有限会社レイバー経営者コラム「デジタルトランスフォーメーション(DX)の罠」