当事務所の「労務管理のアウトソーシング」をご採用頂いた事例をご紹介します。

01
コスト削減と共に、“経営への集中”を実現して頂いた事例。

企業の課題

従業員50名のオーナー企業様の事例です。レンタルビデオ店を複数店舗、経営されています。

当該企業の労務管理は、社長の奥様が「経理兼総務担当」としてずっと担ってこられました。給与計算から社会保険・雇用保険の手続きなどすべての労務管理業務です(オーナー企業様には多いパターンです)。

しかし、会社の事業が大きくなり、それに伴い従業員の数が増えたこと。また、パートやアルバイト社員を多く使う業態であるため、社員の入社・退社が頻繁に発生すること。その度に、労務管理の手続きが発生し事務作業が非常に煩雑になることから、奥様による労務管理が限界となっていました。

その解決策として、「経理や総務ができる従業員を雇う」という選択肢も検討されていましたが、「(そうすると)従業員個々の給与が、社内に漏れてしまうのではないか?」という点を懸念され、「どのような方法がいいのか?」について検討を重ねてこられました。

アウトソーシングを選択頂いた理由

検討の結果、当事務所へのアウトソーシングを決定して頂きました。

アウトソーシングに決められた3つの理由

  • 「社内に従業員個々の給与額が漏れる」という心配がないこと。
  • コスト削減の効果が明確であること。
  • 当事務所のアウトソーシングは「経営と労務管理に関する専門的な知見を得ることができる」こと。

この3点によって、「当事務所へのアウトソーシング」という方針に決めて頂きました。

また、比較・検討を頂く中で「事務作業を移行する際の『引継ぎ』『すり合わせ』の正確性」も評価して頂いたようです。「給与計算に間違いがあってはならない」というのは絶対条件です。一方で、給与計算や社会保険・税関連の手続きは複雑な作業になります。よって、この作業を移行する際には、「正確に移行されているか?」「間違いはないか?」を丁寧に精査しながら引き継ぎ作業を行う必要があります。この引継ぎの際の移行作業をご説明し、その「すり合わせ」と「検証期間」のプロセスを評価頂いた結果、当事務所へのアウトソーシングに決めて頂きました。

どのようなメリットがあったか?

「従業員個々の給与額が、社内に漏れるかもしれない」というリスクを完全に排除した点

労務管理すべてを当事務所で担当していますので、従業員個々の情報が他の従業員に漏れることはありません。

ちなみに、多くの経営者の方々が「給与計算を従業員に任せると、そこから従業員個々の給与額が社内に漏れるのではないか?」と心配をされます。「アウトソーシング」という選択肢は、この心配が皆無となります。

コスト削減

コスト削減効果は、大よそ「従業員1人分の基本給与相当額」と試算しています。

これまで奥様が担当されていた労務管理の事務作業は、残業も含めると1.5人分相当の人件費に換算できます(毎月30~35万円 年間360~420万円)。一方、本件アウトソーシングの費用は、年間165万円(税別)となりました。従って、大よそ200~250万円の年間コストが削減できたことになります。


【当事務所のアウトソーシングの料金体系】

以下の1~3の合計額が料金となります。

  • 毎月の給与計算時に、従業員一人あたり毎月2,000円
  • 賞与と年末調整の時に別途、従業員一人あたり毎回2,000円
  • 基本料金として、毎月の給与計算および賞与、年末調整の時に各10,000円

この料金によって、すべての労務管理業務(毎月の給与計算、日々の勤怠管理、年末調整、社会保険・労働保険の手続き、地方税の更新手続き、各種申請手続きなど)をお引き受けしています。

【当該企業様のアウトソーシング料金】

  • 従業員50名×2,000円×12ヶ月=1,200,000円
  • 従業員50名×2,000円×3回(賞与2回、年末調整1回)=300,000円
  • 基本料金 10,000円×15回(給与計算12回、賞与2回、年末調整1回)=150,000円

合計 1,650,000円(税別)

年間165万円(税別)が、アウトソーシングの費用となりました。

奥様が事務作業から解放され、
ご主人である社長と共に「経営」により多くの時間を使うことができるようになった点

具体的には、従業員教育、店舗サービスの向上、新店舗の開発など「事業の成長」に関わる業務へ積極的に時間を使われるようになりました。また、来店されるお客様に目を配る時間も増えたことで、お客様満足を向上させるための取り組みにも積極的に関わっておられます。「経営者」として本来やるべき仕事に時間を使えるようになった点が、「非常に大きなメリットだ」と奥様と社長のどちらも実感をされています。

事務負担の大幅な軽減

レンタルビデオ店は、パートやアルバイト社員など非正規の従業員を多く雇用することから、従業員の入社・退社が頻繁に発生する業態です。そのため、労務管理の事務負担が非常に大きくなりがちです。実際、当該企業でも頻繁な従業員の出入りによって、事務負担は非常に大きくなっていました。

今回、アウトソーシングによって労務管理に関わる事務作業はすべて当事務所で行っています。
当該企業様には、ほんの簡単な連絡作業だけお願いしています。

  • 新しい従業員の方が入社された際に、その方の氏名、生年月日、住所、給与額、年金番号など基本的な従業員情報を当事務所のシステムに入力頂くこと
    (約5分で完了する作業です。尚、当事務所のシステムへは、オンライン経由で企業様側からアクセス頂けます)
  • 従業員の方が産休・育休を取得された時や、退職された時に、その従業員の方のお名前と退職日を連絡頂くこと

また、社会保険や労働保険の分野は制度の改正が頻繁に行われます。改正の度に「新しいやり方」が求められ、労務管理の担当者はそのやり方に“追い付くこと”が必要になります。しかし、社会保険や労働保険の分野はそもそも制度が非常に複雑であることから、制度改正への対応は非常に骨が折れる作業となります。今回、労務管理をアウトソーシングしたことで制度改正に追われることがなくなり、奥様は気持ちがとても楽になったそうです。それにより、本来やるべき「経営」への集中がしやすくなった点はとても大きなメリットだったとのことです。

アウトソーシングを選択するポイント

パートやアルバイトを多く雇う企業様など、従業員の入社・退社が頻繁に発生する場合には、
アウトソーシングは非常に有効な方法です。

  • 従業員の入社・退社に伴う社会保険・労働保険関連の手続きはとても複雑で面倒です。従業員の出入りが多い業態の場合には、これだけで大きな負担となり、必要以上の人件費がかかっているケースもあります。
  • 当事務所は、「従業員一人あたり2,000円」というわかりやすい料金体系にて、給与計算から社会保険・労働保険の手続きまですべて受託しています。そのため、従業員の入社・退社が頻繁に発生する場合であっても、料金はあくまでも「従業員数」により計算しています。余分な料金は発生しない体系ですので、安心してお任せ頂けると考えます。

給与計算業務の移行時のすり合わせが最も重要。

  • 「給与計算は絶対に正確」が大原則です。そのため、非常に重要になるのが給与計算業務をアウトソーシングへ移行する際の「事務作業の引継ぎ」です。この引継ぎ業務の正確性が、アウトソーシング後の事務作業の正確性を左右します。
  • 当事務所では、アウトソーシングへの移行時に2~5ヶ月間の移行期間を設けています(従業員数や労務管理業務の複雑さなどにより、移行期間は異なります)。当該企業のケースでは(従業員が50名であったことから)3ヶ月間の移行期間を設定しました(引継ぎとセットアップに1ヶ月、検証期間に2ヶ月)。
  • 移行時には、まず当該企業と綿密なすり合わせを行います(準備期間)。その上で、移行スケジュールを策定し、従業員データの当事務所への移行と給与計算式などの必要な初期設定を行います(セットアップ)。その上で、予め決めておいた開始日からアウトソーシングをスタートしますが、最初の1~3ヶ月は検証期間となります。検証期間とは、「給与計算が正確に行われているか?」を検証する期間ですが、具体的には当事務所がアウトソーシングにより給与計算をするのとあわせて、委託企業様にも引き続き給与計算をお願いし、双方の給与計算の結果を付け合わせることで、「間違いがないか?」を確認しています(付け合わせ作業は、当事務所が行います)。
  • この作業を(このケースでは)2ヶ月間続けることで、間違いなく計算できていることを確認した上で、「完全アウトソーシング」へと移行しました(本格稼働)。

企業様側に権限を持った窓口担当者を1名置いて頂くと、
アウトソーシング業務が(双方にとって)順調に運びます。

  • 労務管理すべてにおいて(アウトソーシング自体の)事務作業は通常、順調に進行していきます。但し、気を付けるべきポイントは、入社や退社、産休や育休などスポットのイベントが発生した際の対応です。企業様側でアウトソーシングの窓口を明確に決めて頂いていない場合には、こうしたスポットの情報共有がうまく行かない場合があります(この件は、○○さんにお願いしたと思っていたけど・・・、といった連絡のミスにより、情報共有がうまく行かない、といったことが起こるリスクがあります)。
  • よって、アウトソーシングを受託する際には、企業様側の窓口として一定の権限を持った方をアサインして頂き、そこへ窓口を一本化して頂くことをお勧めしています。すると、情報共有がうまくいき、順調なアウトソーシング業務が実現しやすくなります。
02
アウトソーシングにより「働きやすい職場環境」を実現したケース。

企業の課題

医師・看護師・従業員あわせて約700名の病院のケースです。
給与計算や(医師・看護師・従業員の)社会保険関連の手続き等、労務管理業務はすべて総務部の6名の従業員が行っていました。

しかし、複数棟ある病棟でそれぞれ労務管理のやり方が異なっていたり、同じグループ内にある関連病院の労務管理も行っていたのですが、そこのやり方もまた異なっていたりと、非常に複雑な労務管理となっていたことから、総務部6名では手に負えない状況になっていました。

加えて、(そうした状況のため)総務部の担当者は、休みを取ることが非常に難しい状況でした。産休・育休などとても取れない状況で、プライベート・ライフを犠牲にせざるを得ない環境となっていました。

そうした環境であったため、総務部の6名が結婚・出産・育児などを考えた場合、「退職」を選択せざるを得ない状況になっていました。これは、病院にとっては「新たな人材を探さなければいけない」「でなければ、業務が回らない」という次の問題へとつながり、病院の運営に大きなリスクをもたらしていました。

アウトソーシングを選択頂いた理由

検討の結果、当事務所へのアウトソーシングを決定して頂きました。

アウトソーシングに決められた2つの理由

  • 「オーバー・キャパシティーになっている総務部の業務負担を一気に軽減できる」

    アウトソーシングによって労務管理に関する事務作業を“外に出す”ことで、労務管理に関する総務部の作業はほとんどなくなります。これにより、「いつも大変な総務部」という現状を解決し、「働きやすい総務部」へと改善できる点が大きな魅力だったようです。

  • 「コストの抑制」

    オーバー・キャパシティーになっている部門の問題を解決するには、「人を増やす」という方法もあります。しかし、それだと「コストも増えてしまう」という結果になります。アウトソーシングを活用することで、コストを抑えた上で、業務負担をほぼゼロまで引き下げることが可能だった点が、アウトソーシング選択の大きな理由でした。

どのようなメリットがあったか?

「業務負担の軽減」と「働きやすい環境への転換」が実現

アウトソーシングしたことで、すべての事務作業は当事務所が引き継ぎました。当病院に残った事務は、新しい医師・看護師・従業員の採用があった時に、採用の旨と氏名や住所などの基本情報をご入力頂く作業(約5分で作業完了)と、産休・育休や退職者があった時に、そのお名前をご連絡頂くだけになりました。ほぼ100%の業務負担の軽減です。

そして、アウトソーシング後、総務部の6名は「働きやすい職場環境への改善」など、より重要な業務に従事されるようになりました。「命を守る場」である病院は、緊張感が高く、そのためストレスも非常に高い環境になります。だからこそ、「働きやすい職場環境」が非常に重要となり、それが「安全」への重要な土台になるそうです。総務部の6名の方々は、そうした業務へ多くの時間を使うことができるようになりました。

当病院の副理事長様も、「総務部の担当者が、他の(より重要な)業務に集中できるようになったこと」が、「大きな効果だった」とおっしゃっています。総務部として本来行うべき、シフト体制の改善、従業員の健康管理、働きやすい職場環境の実現など、病院の安全と信頼に直結する業務へ集中できるようになったことが非常に大きな変化だったようです。

コストの抑制

従業員700名なので、アウトソーシング費用は以下となります。
※ 事例をわかりやすくするために「700名」とキリのいい数字にて計算しています。

【アウトソーシング料金】

  • 毎月の給与計算時に、従業員一人あたり2,000円なので
    700名×2,000円×12ヶ月=年間1,680万円
  • 賞与(年2回)と年末調整もそれぞれ従業員一人あたり2,000円なので
    700名×2,000円×3回(賞与2回、年末調整1回)=420万円
  • 基本料金として給与計算(年12回)、賞与(年2回)、年末調整(年1回)の時にそれぞれ1万円なので10,000×15回=15万円

1~3の合計額が年間のアウトソーシング費用となり、合計で年間2,115万円(税別)です。

これは、総務部の担当者6名の給与額をやや下回る費用になったようです。従って、コストを抑えた上で、総務部の事務負担を大きく軽減することができました。

この事例のポイント

このケースでは、「セキュリティー」と「業務の引継ぎ」が大きな課題でした。

従業員の方々の個人情報をお預かりすることから、セキュリティーの心配をされるクライアント企業様は多くあります。このケースでも、700名の個人情報をお預かりすることから、セキュリティーへのご心配がありました。

当事務所では、具体的に2つの対策を講じることにより、高いセキュリティーを確保しています。

対策1. クラウド専用のデータ・センターを利用している点

個人情報は(当事務所に保存するのではなく)専用のデータ・センターのサーバ内に保管・管理しています。高いセキュリティーを維持する専用のデータ・センターであるため、ハッキングや情報漏洩には万全の対策を講じています。

対策2. 当事務所の個人情報取り扱いの体制

当事務所では、プライバシーマークの取得とSRPの認証を受けています。プライバシーマークとは、日本産業規格「JIS Q15001 個人情報保護マネジメントシステム-要求事項」に適合した個人情報の保護処置を講じている企業・組織に付与されるものです。当事務所は、このプライバシーマークの付与事務所となっています。

SRPとは

全国社会保険労務士会連合会(以下、社労士連合会)が認定する個人情報の取り扱いに関する認証制度です。SRPの認証を受けた事務所は、社労士連合会が規定する「適正な個人情報の取り扱い」の水準を満たしていることを意味します。当事務所は、SRPの認証も受けています。

高いセキュリティーに守られたデータ管理と、厳密な事務所の運用体制の2点において、情報セキュリティーを担保しています。当該ケースにおいても、この2つの点を評価頂き、安心してアウトソーシングを決めて頂きました。

「業務の引継ぎ」

正確なアウトソーシングを実現するためには、移行する際に、従業員の方々の情報や給与計算の方法などを正確に引き継ぐ必要があります。そのためには、入念な準備と、検証期間における正確な検証作業が必須となります。

このケースでは、給与計算が非常に複雑であったことから、この「業務の引継ぎ」が非常に大変な作業となりました。しかし、この「業務の引継ぎ」を正確に実行できたことで、その後のアウトソーシングも正確、かつスムーズなものとなりました。

当該病院には複数の病棟があるのですが、病棟毎に異なる給与計算の方法を採用しておられました。また、医師・看護師・従業員の雇用形態がそれぞれ複数存在していたため(直接雇用、委託契約、正社員、契約社員、等々)、給与計算がさらに複雑になっていました。そのため、アウトソーシングへの引継ぎ時には、慎重な準備と入念な検証作業が必要と判断しました。

まず、それぞれの病棟の給与計算の方法を引き継ぎ、正確に再現できるようにしたこと。次いで、医師・看護師・従業員の方々の雇用データを当事務所のシステムへ移管し、すべてのデータが正確に移管されたかどうかを確認。あわせて、それぞれの給与計算方法がシステムに適切に反映されているかどうかを確認する、といった作業を細かく積み重ねていきました。

その上で、「検証期間」を4ヶ月間としてアウトソーシング業務をスタートしました。通常、検証期間は1~3ヶ月なのですが、給与計算の複雑さから、通常よりも長い検証期間を設定しました。検証期間中は、当事務所が給与計算を行う一方で、従来通り当該病院にも給与計算業務を継続して頂きました。両者の数字を、当事務所で付け合わせを行い、数字に間違いがないかを確認をする作業を4ヶ月間行いました。

結果、「間違いなし。移行可能」と判断し、5ヶ月目から当事務所による本格的なアウトソーシングに移行したというプロセスです。

アウトソーシングにおいて「正確性」は絶対条件です。そのために、「業務の引継ぎ」はとても重要なステップとなります。