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無断欠勤を続けた社員を解雇したら、不当解雇で訴えられた事案

トラブルの概要
警備会社に勤務する警備担当の従業員が、無断欠勤を3回連続したため、当該警備会社が解雇処分としました。すると、この従業員が「不当解雇だ!」と訴え、復職を要求した事案です。

「3回の無断欠勤」が解雇を正当化できるかどうか? がポイントでした。
解決結果

「3回の無断欠勤」だけでは解雇を完全に正当化することはできないと考え、金銭(1ヶ月分の給与)による解決(退職を認めさせる)を図りました。

「1ヶ月分の給与」という追加出費はかかりましたが、その他の費用を請求される事態に発展する前に解決に至ったため、「最小限の費用による解決」だと考えます。

解決のポイント
  1. 迅速な対応で、解決策を示したこと
    • 本事案は、「会社側が、十分な事前対応をしないまま解雇処分をしてしまった」というケースです。そのため、元従業員の不当解雇の請求はかなり根拠のあるものでした。
    • そこで、元従業員に対して、金銭による解決を提案しました。交渉の最初から具体的な金額を明示することで、解決を促しました。元従業員はこれに応じ、早期の解決となりました。
    • こうした場合、迅速な対応が決め手になります。そのためには、法規制、判例、これまでの事例に明るく、経験豊富な専門家が解決への戦略を組み立てることが重要です。精緻に練り上げられた戦略を、迅速に実行することで、解決の可能性が高まります。
  2. 不当解雇の訴えは、未払い残業代の請求などへ発展する可能性があります
    • 多くの場合、不当解雇の訴えは、未払い残業代の請求、(不当解雇による)精神的な苦痛への損害賠償請求など、他の金銭的な請求へと広がっていくことがあります。
    • そうした広がりの可能性を防止することを念頭に置いた対応が必要になります。迅速な対応をすることで、そうした広がりを防止することができます。また、解決を確認する書面を作成し、そこに未払い残業代等がない旨の記載を盛り込み、元従業員の記名・押印を徴求するといった方法もあります。
    • 本件では、そうした書類を作成し、トラブルが継続しないよう対策を講じました。
まとめ

本事案からは、重要な示唆が2点あります。

ひとつは、問題行動のある従業員への対応は、法的根拠のある手続きに則って進めるという点です。本事案は、会社側のやや拙速と思われる対応がトラブルへと発展しました。そうした事態を回避するためには、会社側の対応は法的正当性を担保した上で、順序立てて行われる必要があります。問題行動のある従業員への対応をする場合、まずは専門家のアドバイスを受けることをお勧めしているのは、こうした理由からです。

もうひとつは、(上記と関連するのですが)問題行動のある従業員が現れるという前提に立って、そうした従業員への対応を事前に設計しておくという点です。現実問題として、無断欠勤をする、勤務態度が悪い、指示・命令に従わないなどの問題行動のある従業員を抱える企業は多くあります。そうした従業員が現れた後で、対処方法を模索するのでは十分な対応が出来ない可能性が高まります。例えば、懲戒処分は就業規則に明記されていない限り、行うことができません。にもかかわらず行った場合、その懲戒処分は無効になります。就業規則の作成において詰めが甘い場合、問題のある従業員を処分することもできない、ということになってしまいます。先見の明を持って、事に備えることが重要だと考えます。

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