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ホテルの支配人が部下をまとめて派閥を作り、社長と対立した事案

トラブルの概要
ホテル事業を運営する当該企業。
そのホテルの支配人を務める従業員が、部下をまとめて派閥を作り、社長の経営方針にことごとく反発した事案です。

やり手支配人であった当該従業員は、多くの部下から信頼を得ていました。業務執行能力も高かったことから、当該社長はその支配人にホテル運営の多くを任せていました。

そうした「運営を任せる」という状態が比較的長く続く中で、当該支配人は徐々に社長の方針を無視するようになっていきました。そうした支配人の態度に社長が注意や修正を求めると、支配人は反発し、自ら部下をまとめ「自分(=支配人)の派閥」を作っていきました。派閥の力を背景に、社長にあからさまに反発するようにもなっていきました。結果的に、当該支配人が当該企業の大よそ半分の部署と従業員をコントロールするという異常な状態に陥ってしまい、社長を頂点とする指揮命令系統は完全に機能しなくなっていました。

この状態ではとても健全な経営は行えず、外部の力を借りて「社長が経営の指揮を執る”通常の状態”へ戻すべき」と決意した当該社長からご相談を受けた経緯です。
解決結果

当該支配人について身辺調査を行った結果、複数の従業員からセクハラ被害の申し出がありました。その事実を当該支配人に示し、懲戒規程に則って降格人事を提示した結果、当該支配人は退職。

当該支配人の退職を聞いた4名の従業員が、一緒に退職する旨を伝えてきましたが、2週間ほどでそれらは撤回。結局、当該支配人一人が退職することで決着しました。

その後、ホテル内の派閥は自然に消滅し、社長の指揮のもと安定した経営を継続されています。

解決のポイント
  1. 失脚ポイントを探す
    • こうした社内の派閥トラブルを解決する最善の方法は、「相手側の失脚ポイント」を洗い出すことです。こうした派閥トラブルの多くには、不正な行為が紐づいている可能性があります。そこを探します。
    • 対策の一環として、「職場環境に関する従業員の満足度調査」を口実にして、一人ひとりの従業員からヒアリングを行いました(もちろん、当該支配人に関するヒアリングであることは伏せています)。その結果、複数名の従業員から当該支配人によるセクハラ行為の申し出がありました。その事実確認を詳細に行ったところ、懲戒処分に値すると判断。当該支配人にその認否を確認することにしました。
    • 当該支配人に認否確認したところ、「あれはセクハラではない。一緒に話していただけ」と認否をしてきました。しかしながら、セクハラ行為があったと指摘された場所、日時、状況、被害従業員についてすべて事実であったこと。その状況が、通常の業務とは著しく異なる環境であったことから、「それはセクハラ行為である」と認定。懲戒処分の対象としました。
  2. 明確な懲戒規程を設ける
    • 当該ホテルの就業規則には、セクハラ行為に関する規定、懲戒規程、懲戒処分の内容が記載されていました。従って、処分は(懲戒委員会を経た上で)就業規則に基づいて行いました。
    • 就業規則に規定されていることで、懲戒処分は非常にやりやすくなります。反対に、規定がない場合には、従業員の処分は非常に難しくなります。従って、就業規則の懲戒規程と懲戒処分の記載は、多くのトラブルを予防・回避・解決する非常に重要な要因となります。
  3. 求心力を失くすこと
    • こうした事案の場合、中心人物の求心力を失くすことが必須です。求心力を維持したままだと、中心人物が退職した場合、多くの従業員も退職してしまうリスクがあります。また、中心人物が退職した後でも、社内に派閥が残ってしまい、社内がギクシャクしてしまうことがあります。
    • 本件では、求心力を失わせる方法として“派閥の幹部”的な従業員との話し合いを積極的に行いました。先方の思いをしっかり聞くこと。あわせて、会社として期待している人材であること、引き続き業務を頑張って欲しいことなどを伝えました。その結果、当初は「退職する」と言っていた4名の従業員は考えを変え、会社に残ってくれることとなりました。
まとめ

業務に精通した従業員が、他の従業員を巻き込み、派閥を作り、社長の方針に反対する勢力となることはしばしばあります。多くの場合、その前提として、特定の業務が一人の幹部に集中してしまい、その幹部抜きには業務が回らないといった状態となってしまっている点があります。その状態を言わば“テコ”にして、会社内で力を蓄えていきます。従って、「一人の幹部に業務が集中した状態を放置しない」というのが重要な教訓です。

また、万一こうした「反乱」が発生した場合には、「早ければ早い程、対応は容易」になります。ずるずると時間が経過してしまうと、中心となっている幹部従業員の力はどんどん大きくなり、会社の経営を揺るがす大きなリスクになってしまいます。早い段階で、外部の専門家のサポートを依頼することをお勧めします。

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