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ホテル従業員のセクハラ・トラブル事案

トラブルの概要
ホテルで客室のベッドメイキングや清掃を担当する女性従業員が、同じホテルで働く施設管理担当の男性従業員からセクハラを受けたと会社へ訴え出た事案です。

客室のベッドメイキングや清掃業務は、人がいない個室で行われます。また、客室設備のメインテナンスも、人がいない個室での作業になります。そうした人がいない場所であったことから、設備管理担当の男性従業員が、清掃業務を担当している女性従業員にセクハラ行為を行ったものです。

女性従業員が「セクハラを受けた!」と会社に訴え出たことで、会社が対応に追われました。
解決結果

両者の意見を聞いた上で、懲罰委員会を開催。男性従業員を、減給10分の1、1ヶ月。並びに、女性従業員と顔を会わせない他の部署への配置転換。また、男性従業員には、女性従業員への謝罪文、始末書、顛末書の提出を求めました。これらの対応を女性従業員は承諾し、問題の解決となりました。

解決のポイント

本件の解決には、以下のポイントが非常に重要でした。

  1. 迅速に動くことが大切
    • 何よりも、会社として迅速に対応することが重要です。被害従業員は、加害従業員に対して、恐怖、怒り、屈辱感など複雑な気落ちを抱えています。そこへ会社の対応が「鈍い」場合、その被害従業員の感情は更に悪化し、場合によっては「会社への不信感」として増幅されます。
    • 本件は、当事務所の顧問先であったことから、本事案発生直後に当該企業からご連絡を頂き、解決に向けたプロセスをスタートしました。始動が早かったことで、被害従業員の信頼を得ることもでき、早い解決につながりました。また、始動の早さは、事実認定を効果的にしますので、解決に向けた作業のクオリティーを決定的に高めます。
  2. 事実認定のプロセスをしっかりすること
    • どのような労働トラブルでも同じですが、事実認定は非常に重要です。正しい事実を、正確に、精緻に調査することが解決への必須条件です。
    • 本件では、被害従業員と加害従業員から別々に話を聞くことで事実認定を行いました。両社の説明が概ね合致したことから、事案の内容を特定できたと判断しました。
    • 事実認定については、被害従業員、加害従業員双方に「それで間違いないです」と同意をしてもらうことが重要です。このプロセスが抜けてしまうと、不満が残ったままになりますし、それが不信感につながっていきます。
  3. 女性従業員の気持ちに配慮する
    • セクハラ事案の場合には、被害従業員の気持ちが非常に重要です。具体的には、セクハラ被害を「公開して欲しくない」と考える被害従業員と、「公開した上で、謝罪をして欲しい」といったことを要求する被害従業員に大別されます。
    • 本件の場合には、「公開して欲しくない」という考えであったため、必要最低限の会社担当者(社長、人事部長、直属の上司)のみでの情報共有となっています。
    • 一方、「公開して、謝罪をして欲しい」という要求がある場合には、対応が難しくなります。そこは、事案の悪質性、処分の重さなどを考慮して判断する必要がありますが、経験豊富な専門家のアドバイスを受けることをお勧めします。
  4. 懲罰委員会は守秘義務がある
    • 上記と重なる部分ですが、原則「懲罰委員会の内容には守秘義務があります」。従って、本事案についても、懲罰委員会の内容、加害従業員の減俸、配置転換の理由などは社内では公開していません。
まとめ

セクハラ・トラブルが大きな問題になってしまう最大の要因は、「会社が迅速に対応しない」、「会社がセクハラ・トラブルに蓋をしようとする」といったケースです。そのため、被害従業員の怒りや不信感が増大し、精神疾患や退職に発展してしまうといった場合です。会社側のこうした対応の根底には、「(会社が)セクハラをあまり重要な問題と捉えていない」という意識があります。

セクハラは、一般常識として「悪質な不法行為」という認識がどんどん高まっています。従業員の意識も、そうなっています。その意識の高まりを、経営側は敏感に認識することが重要だと考えます。

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